2024.01.10雑貨
秋葉原が”オタクの聖地”と呼ばれるようになってから、すでに20年以上が経過しています。その頃は一部の人だけのものだった”オタク”という言葉も今や一般化し、オタクにまつわる用語(ここでは「オタク用語」とします)の中で、いくつかの言葉は、よく耳にするようになりました。ただ実際のところ、その界隈に身を置いていないとわからない言葉が多いのが現状です。そんな中、2023年11月に最新版のオタク用語辞典「大限界」という面白そうな本が発売されました。今回は、最新の「オタク用語」を取り上げながら、オタクの今を紹介してみたいと思います。
毎年、年末になると話題に上る「流行語大賞」や「今年の漢字」といったものは、その時代を反映したものなので老若男女を問わず、誰でも気になるところです。ところが、「若者言葉」「オタク用語」となると、その年齢でなかったり、オタク的なジャンルに関心のない場合は、なかなか情報として私たちの耳に届いてこないものです。
オタク用語辞典「大限界」は、名古屋短期大学現代教養学科の学生12人が自分達の周りで使われているオタク用語を約1600項目も集めたもので、元々はゼミで制作した同人誌でした。これに目を付けた三省堂が辞典として出版し、話題になっています。「大限界」は国語辞典の「大言海」と「限界オタク」というオタク用語を基に銘々されました。内容は、一般的にメディアでも目にするような「オタク共通用語」から「界隈別用語」(界隈とはオタクのジャンルのこと)まで、全14章にわたって解説されています。仲間内で使われる言葉だからこそ、そこに含まれる絶妙なノリやニュアンスも大切にしながらまとめているため、とても興味深く読むことができます。
第一章は、オタク共通用語。ここでは147項目の言葉が解説されています。他にも共通用語としては「二次元」「三次元」「ゲーム」などの共通用語が定義されています。「二次元」とはアニメや漫画、「三次元」とはアイドルなど実在の人物のことです。界隈用語としては「日本の男性アイドル」「K-POP」「2.5次元」「BL(Boys Love)」などがあり、その他は特定のゲーム界隈が6章に渡って解説されています。
1980年代に始まったオタク第1世代は、「機動戦士ガンダム」などアニメブームの洗礼を受けたアニメとアニメ関連グッズ(フィギアなど)のファンを中心に形成されていました。この流れは2000年代を迎えてインターネットという新しいインフラの下、ゲームファンなども巻き込みながらメインカルチャーとサブカルチャーの差が薄れた時代に突入します。この頃から政府主導の「クールジャパン」に見られるようにサブカルチャー(=オタク文化)が日本の個性として取り扱われ、徐々にメインストリームに近い存在になっていきました。そこから20年を経た今、オタク文化はアニメやゲームに留まらず、大限界で取り上げているような範囲にまで広がりました。大限界の共通用語に掲載されている「アニオタ」や「推し活」といった用語は、今や、多くの人が理解し使うようになっていますから、改めて、オタク文化が一般に浸透してきていることに気づかされます。
では実際に掲載されている言葉をもとに最新のオタク用語に、少しだけふれて行きたいと思います。
共通語編:
箱推し・・・アイドルグループなどで特定の一人を応援するのではなく、グループ全体を応援すること。
リアコ・・・アイドルや俳優などの芸能人にファンとしての憧れではなく、真剣な恋心を抱いてしまうこと。「リアルに恋をしている」の略。
古参・・・ふるくから応援しているファンのこと。
痛バ・・・オタクであることを隠すことなく、推しの缶バッジなどを大量につけたバッグのこと。
KPOP編:
エンディング妖精・・・韓国の音楽番組のパフォーマンスの最後にクローズアップされて映るメンバーの事。
ケミ・・・韓国語のスラングから来ていて、とても相性がいいことやコンビネーションなどの意味。
ゲーム共通:
エンカ・・・敵との遭遇を意味する言葉。エンカウントの略。
ガチャ石・・・ゲームの際にアイテム購入やガチャの権利を得るために使用するゲーム専用のポイントのこと。
上記に挙げたのは、ほんの一例ですが、オタク文化がある程度浸透したことにより、一般の若者が使う言葉も多様になり、その言葉を少しづつマスメデイアでも目にするようになりました。こうしたオタク用語に触れることで、今の時代や、若者のマインドをリアルに感じ取ることができるのではと思います。興味のある人は、「大限界」をチェックしてみてください。何かに役立つヒントが得られるかもしれません。