知らなかったフィリピン料理

2024.08.21食べもの

東南アジアの料理といえばベトナムのフォーやタイのガパオライス、インドネシアのナシゴレンなどをすぐに思いつきます。ここ数年、こうした東南アジアの料理が日本のカフェでアレンジされ人気メニューになることもしばしば。にも関わらず、「フィリピンの料理は?」と聞かれると、今ひとつピンとこない人が多いのではないでしょうか。

無いのではなく、知られていないだけ

フィリピン料理は、多様な文化と歴史が交差する中で育まれた独自の食文化を持っています。その特徴は、スペイン、アメリカ、中国、マレー、そして現地の伝統が絶妙に融合している点にあります。フィリピン料理は、食材の新鮮さ、調理法のシンプルさ、そして豊かな風味が魅力です。

代表的な料理には、鶏肉や豚肉を酢、醤油、ニンニク、胡椒で煮込んだ「アドボ」、酸味が特徴的なスープ料理「シニガン」、クリーミーでコクのある「レチョンカワリ」などがあります。これらの料理は、フィリピンの家庭料理として日常的に楽しまれ、またフィリピンの祝祭や集まりには欠かせない存在です。

フィリピン料理は「バヤニハン(助け合いの精神)」と深く結びついており、家族や友人と共に食卓を囲む文化が根強く残っています。大皿に盛られた料理を皆でシェアし、和やかな時間を過ごすスタイルは、フィリピン人の温かさとおもてなしの心を象徴しています。

アドボ
シニガン

大統領自らがプロモート

マルコス大統領は自身のフェイスブックにフィリピン料理の魅力を熱弁した動画をアップし、さらに、フォロワーたちに「お気に入りのフィリピン料理をコメントしてください」と呼びかけるほど、フィリピン料理の知名度を上げるために注力しています。

これを受けて、フィリピン政府も、豊かな食文化を世界に広めるため、積極的なプロモーション活動を展開しています。観光省は、「It’s More Fun in the Philippines」というキャッチフレーズのもと、フィリピンの観光と食文化を一体的にPRしています。最近では、世界各国で開催されるフィリピン料理フェスティバルや料理教室、オンラインイベントを通じて、フィリピンの料理と文化の魅力を伝えています。

特に注目されるのは、フィリピン料理の多様性と持続可能な食材の使用です。フィリピンでは、地元で採れる新鮮な食材を使うことが基本であり、農家との協力を通じて地域経済の活性化にも寄与しています。観光省は、こうした食材のサプライチェーンを強化し、伝統的なレシピを次世代に受け継ぐ取り組みも進めています。

フィリピン料理の魅力は、その豊かな味わいだけでなく、人々をつなぎ、共に楽しむ食文化にあります。フィリピン政府の積極的なプロモーションにより、今後さらに多くの人々がフィリピン料理を通じてその魅力を体感することでしょう。豊かな歴史と文化が詰まった一皿一皿が、世界中の食卓を彩る日が来るのは、そう遠くないかもしれません。

パンシットカントン
マルコス大統領

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Happy コーディネーター eiko

タイ料理研究家の第一人者「氏家アマラー昭子先生」に師事し、ディプロマを取得。川崎市でタイ料理教室を主宰。 タイ料理との出会いは、お子様が小さかった頃、自分の食べたい物や辛いものを好きな時に食べられないストレスを、タイ料理教室と言う非日常の時間を持つことで癒されたから…とのこと。 ご家庭で手軽に作れる、見栄えの良いタイ料理に定評あり。

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