うなぎの歴史と土用の丑の日

2024.07.21食べもの

うなぎ(鰻)は、日本の食文化に深く根付いています。その歴史は古く、奈良時代には既に食されていた記録が残っています。日本の古書『万葉集』にも、うなぎに関する歌が記されており、当時からうなぎが栄養価の高い食材として重宝されていたことがうかがえます。

江戸時代になると、うなぎ料理はさらに普及し、庶民の間でも一般的な食べ物となりました。特に江戸時代中期以降、天ぷらや寿司と並んで「江戸前料理」の一つとして人気を博しました。うなぎの蒲焼きは、江戸の町民の間で特に好まれ、現在のうなぎの食べ方の基礎がこの時期に確立されました。

土用の丑の日

土用の丑の日とは、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間である「土用」の期間中に訪れる丑の日のことを指します。特に夏の土用の丑の日が有名で、この日にうなぎを食べる習慣が定着していますが、栄養価の高いうなぎが夏バテ防止に最適とされたことに由来するようです。

この習慣の起源については諸説ありますが、最も有名なのは江戸時代の蘭学者・平賀源内の逸話です。源内が夏バテに悩む知人のうなぎ屋に「本日、土用の丑の日」と書いた看板を掲げることを提案し、それが大ヒットしたという話があります。この話が広まり、夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が定着したと言われています。今でも、うなぎは日本の食文化に欠かせない存在であり、その歴史や食べ方には地域ごとの特色が色濃く反映されています。

地方による違ううなぎの食べ方

日本各地には独自のうなぎの食べ方があります。代表的なものをいくつか紹介します。

■関東風の蒲焼き

関東風の蒲焼きは、うなぎを開いて串に刺し、蒸してからタレを付けて焼くのが特徴です。この方法はうなぎの脂を適度に落とし、ふっくらと柔らかい食感に仕上げるため、江戸の町人に愛されました。蒸す工程が加わることで、骨が柔らかくなり、食べやすくなります。

■関西風の蒲焼き

一方、関西風の蒲焼きは、うなぎを開いた後に直接焼き、タレを付けて再度焼き上げます。蒸す工程を省くため、関東風に比べて香ばしさが際立ちます。特に、大阪では「まむし」と呼ばれる、うなぎの蒲焼きをご飯に混ぜ込んだ料理が人気です。

■ひつまぶし(名古屋)

名古屋名物のひつまぶしは、細かく刻んだうなぎの蒲焼きをご飯にのせた料理です。食べ方が特徴的で、最初はそのまま、次に薬味を加えて、最後にお茶漬けとして楽しむことができます。この三段階の楽しみ方が、多くの人々に愛されています。

■白焼き(静岡)

静岡県では、白焼きという調理法が一般的です。これは、うなぎをタレを使わずに焼き上げ、わさび醤油や塩で味わうものです。うなぎ本来の風味を楽しむことができ、あっさりとした味わいが特徴です。

このように各地の独自の調理法が現在でも多くの人々に楽しまれています。うなぎを通じて、日本の豊かな食文化を再確認することができますね。

関東風蒲焼き
関西風蒲焼き
ひつまぶし
白焼き

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Happy コーディネーター eiko

タイ料理研究家の第一人者「氏家アマラー昭子先生」に師事し、ディプロマを取得。川崎市でタイ料理教室を主宰。 タイ料理との出会いは、お子様が小さかった頃、自分の食べたい物や辛いものを好きな時に食べられないストレスを、タイ料理教室と言う非日常の時間を持つことで癒されたから…とのこと。 ご家庭で手軽に作れる、見栄えの良いタイ料理に定評あり。

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