じわじわと「大豆ミート」

2023.12.22食べもの

この2~3年、健康志向やサスティナブルへの意識の高まりから、プラントベースの食品や食事が注目されています。中でも特に注目を集めているのが「大豆ミート」です。大豆ミートとは代替肉として、大豆をお肉のような食感や風味に加工した食品のことで、生産するメーカーがじわじわと着実に増えているのが現状です。

なぜ大豆ミート?

大豆ミートが注目される理由として、大きく二つの事があげられます。

一つは、食料問題貢献への期待です。家畜を育てるためには大量の餌が必要であり、現在、世界で生産されている小麦の約2割、トウモロコシの約6割が餌として利用されています。食肉需要が今以上に高まることで小麦やトウモロコシを主食としている国において食糧不足が発生する可能性があります。また、2050年には、世界の人口が現状の1.3倍以上の約97億人になることが予想され、それに伴う食料需要の逼迫とたんぱく質の需要と供給のバランスが崩れてしまう「たんぱく質クライシス」が懸念されています。たんぱく質は私たちにとって欠かすことのできない必須栄養素ですから、大豆ミートの生産が高まることで不足を補えることが期待されます。

もう一つは、大豆ミートの栄養面に関してです。大豆ミートは高タンパク、低カロリー、低脂質で、食物繊維も含まれており、いわば「万能フード」と言っても過言ではありません。大豆ミートに含まれる栄養素を牛肉と比べても、健やかなからだに必要な栄養素が豊富に含まれていることがわかります。そのため、ダイエット志向や健康志向の高いベジタリアンやヴィーガンはもとより、一般の人も受け入れやすい特長を持っていると言えます。

<“大豆ミート”とお肉類の栄養価比較(可食部100gあたり)>
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※【出典】文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」及び「第2章(データ)」より抜粋
※乾燥“大豆ミート”水戻し後(3倍)の計算値(粒状大豆たんぱくの値参照)

企業の取り組み

これだけ注目されている大豆ミートですが、まだまだ日常的に実際の食事に取り入れている人は少ないようです。しかし、大豆ミートに可能性を感じている企業は多く、商品開発はもとより、消費者への大豆ミート食品類の普及、及び発展を念頭に2023年9月に「日本大豆ミート協会」が設立されました。

協会加盟の5社以外にも、様々な企業から大豆ミート製品は販売されていますが、いずれの企業も「美味しく手軽に取り入れやすい商品」の開発が喫緊の課題となっているようです。食材としては、ブロックタイプ・ミンチタイプ・フィレタイプ・加工肉タイプと料理に合わせて選べるようにバリエーションが増えています。さらには、見た目や形にとらわれないシート状のユニークな大豆ミートまで販売されるようになってきました。技術的にも大豆特有の青臭さを感じにくいように材料となる大豆選びから製法まで、日々進化しています。

大手食肉加工品メーカーからはその加工技術を生かして、温めてすぐに食べられる「おかず類」も続々と発売されています。「ハンバーグ」「からあげ」「肉だんご」など、大豆ミートと告げずに食べさせたら、おそらく気づかないのではないかと思うほどの食感と味を実現しています。

私たちの日常においても、カフェのランチで「大豆ミートの〇〇」といったメニューを見かけることが多くなりましたし、大手レシピサイトにおいても、大豆ミートのレシピは急増しています。ちょっとした工夫で、よりおいしくいただけるレシピが数多く掲載されていますので、一般家庭でも「肉料理の半分は大豆ミートで作ります」といった家がじわじわと増えるのではと推測します。数年後には、お肉に代わる新しい選択肢「大豆ミート」が、私たちにやさしく健やかな食事を提供してくれる主役になるかもしれません。



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大豆ミートのキーマカレー

大豆ミートを使用し、動物性エキス等も不使用の植物素材100%キーマカレーです。まるでお肉のようなおいしさと食べ応えを兼ね備えた商品です。1袋(180g)でたんぱく質を11.3g摂取できます。いつもの食事にささっと「からだスマイルプロジェクト」をプラスして、手軽に栄養バランスを整え、健康的で美味しい食生活を楽しめます。
https://kspj.nippon-access.co.jp/product/2022aw04.html

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KEI

写真付きコラムの執筆。コミュニティクリエイター。フォーチュンテラー(タロット)。日本大学藝術学部写真学科卒業。

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