2023.06.30食べもの
ビジネスでもプライベートでも「お茶する?」と言って店に行きながら、実際に飲むのはコーヒー。ところが、近ごろ、紅茶やハーブティーといった”ティー”をオーダーする人も増えているようなのです。たしかに、コーヒー専門店のメニューにも”ティー”のバリエーションが増えましたよね。この背景には何があるのでしょうか。
2022年の「ユーキャン 新語・流行語大賞」にノミネートされた「ヌン活」という言葉をご存じですか?
「就活」「婚活」から始まった「●●活」は、サウナを満喫することを「サ活」と呼ぶまで広まっていますが、「ヌン活」とは、本来ホテルでアフタヌーンティーを楽しむことを言います。これは、日常の中の「プチ贅沢」を味わうという意味で使われてきましたが、現在はホテルだけではなく、カフェやレストランなどでも「ヌン活」「ヌン茶」を提案する動きが広がっています。「ヌン活」で提供される飲み物は、数種類の紅茶やハーブティーが主役で、多くの店ではポットで提供され、時間をかけて楽しめるという点でも人気を得ているようです。
「ヌン活」における”ティー”人気を、健康という切り口で解説する人もいます。午後のリラックスした時間に”ティー”をいただくと、夜の睡眠にも良い影響を与えるという理由からです。紅茶は、コーヒーに比べてカフェイン量が半分程度、ハーブティーに至ってはノンカフェインのものも多数あります。カフェインを摂り過ぎてしまうと神経の興奮や不安の増加、不眠症につながるリスクがあり、特に妊娠を望んでいる方や授乳中の方はカフェインを控えた方が好ましいとも言われています。20代~40代の女性を中心に人気が出た「ヌン活」ですから、こうした健康志向が背景にあるという解説にも納得できます。
”ティー”需要の増加は、従来の紅茶に加えて「ハーブティー」や「黒豆茶」といった茶葉以外から作られた”ティー”が増え、選択肢が広がったことも要因だと考えられます。
ハーブティーには、カモミール、レモングラス、ローズヒップ、ルイボスなど様々な味わいのものがありますが、全体的には背景に健康志向や美容志向が感じられます。ノンカフェインであるものも多く、それぞれのハーブに様々な効能がうたわれています。特に「ルイボスティー」は、ここ2~3年、とても人気が高まっています。飲みやすい味で美肌効果もあると言われているため、ボトリングされた飲料として今ではどこでも手に入るようになりました。他にもレモンのような爽やかな風味が特徴の「レモングラス」、涼しげできれいな青色が魅力の「バタフライピー」など、多種多様なハーブティーが専門店のみならずスーパー・コンビニ・ドラッグストアなどでも販売され、カフェやレストランでも楽しめる機会が増えています。
一方、少し年齢の高い女性の間で通販から火が付いたと言われている、いわゆる「健康茶」も人気です。こちらも様々な種類がありますが、人気の高いものとしては「黒豆茶」「ゴボウ茶」「びわの葉茶」「杜仲茶」など。「健康茶」の名の通り、例えば「黒豆茶」は、生活習慣病予防に効果があると言われているポリフェノールが豊富に含まれており、今や、その人気は40代以下の女性にも広がりつつあります。
これだけ”ティー”のバリエーションが増えたのですから、いつもコーヒー派の方や紅茶に親しみのある方も、自分にあった”ネクストティー”が見つかるかもしれません。まずは、「ヌン活」してみますか?