新しい”寿司店”の楽しみ方

2023.04.10食べもの

今や、私たちにとってお寿司はごく身近な食べ物ですが、気軽に誰でも食べられるようになったのは、1970年代に回転寿司が流行して以降のことです。当時は、主に郊外を中心に展開されましたが、リーズナブルな価格帯や自由に選んで食べられる楽しさが、都市部のファミリー層からも人気を集め、結果として全国に広がり一大産業になりました。

回転寿司以降、長い間、新しい「お寿司」の食べ方は提案されてこなかったのですが、ここへ来て、新業態が続々と出てきました。

味はもちろん、会話や雰囲気を楽しむ店

”日常的には回転寿司。特別な日はお寿司屋さん”、従来、この二択しかなかったところに、昨年あたりから他の選択肢が加わったようです。お寿司を食べることをメインにするのではなく、お酒を飲みながらおつまみ感覚でお寿司を楽しめる居酒屋タイプのお店が急増しています。
大手チェーンでは、酒のつまみとしてのお寿司を研究し、様々な店舗展開をしています。例えば、お酒とお寿司の組み合わせに徹底的にこだわった「寿司居酒屋」、立ち飲みとお寿司を掛け合わせた「立ち飲み寿司」などなど、お客様のニーズに合わせたお店を積極的に展開し好評を博しています。

1980年代の後半、いわゆるバブルの頃、東京の都心では、おしゃれさを売り物にした「すしバー」というものが流行し、マスコミがこぞって取り上げた時期がありました。バブル崩壊と共に、いつのまにか消え去りましたが、令和の時代を迎えて、その「すしバー」を彷彿させるような寿司店が、再び、ちらほらと出店を始めています。それらの店の共通点は、おしゃれでくつろげる内装、さらに、SNSの”映え”を意識した”目でも楽しめる創作寿司”を提供していることです。中には、完全個室&完全予約の超VIP寿司もあり、1日2組しかお客様を受けない特別店も存在するようです。

新しいタイプのお寿司屋さんといっても、おいしくなければ話になりません。そのため、上記で紹介したようなお店は、新しさと美味しさのバランスを限りなく追求しています。こうした新しいタイプのお寿司は、”カタカナスシ”と呼ばれています。一般的なお寿司と少し違い、組み合わせや調理方法が工夫されていて、見た目に”あたらしく”かつ”おいしい”ため、私たちに驚きと満足感を同時に提供してくれます。こうした新しい寿司店は、SNS効果か、すでに日本国内からだけでなく海外のお客様からも注目されていて、数年後には、私たちの間でも”スシ”の方がメジャーな呼称になるのかもしれません。

寿司居酒屋
居酒屋メニュー
カタカナスシ
カタカナスシ

− writer

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甲斐 ツマオ

エッセイスト。漫画原作者。映像作家。

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