栄養補給関連の食品は、なぜ定着したの?

2023.01.20食べもの

私たちは、忙しい日々を送るなかで、朝食・昼食をついついインスタントな食事で済ませてしまいがちですが、簡単に済ませたいけど、からだに良い物を摂りたいと思う方も少なくありません。そんな方の気持ちに応えるように、栄養補給ができるお菓子や食品が増えています。コンビニエンスストアには専用棚が設けられているほど、とても身近な存在になっています。今回はそんな栄養補給食品について考えてみました。

プロテインバーが口火を切った

かつては、プロテイン(タンパク質)を意識的に摂ることは体を鍛えている人だけというイメージがありましたが、消費者の間では、タンパク質が常に必要であり、かつ不足しがちな重要な栄養素だという認知が広まり、多種多様なプロテインバーやプロテインゼリーなどが開発され、手軽に補給することが一般化してきました。
たんぱく質の摂り方として、粉末を水などに溶かして飲む方法はシェイカーも必要であり、タイムリーに摂取することが難しかったのですが、プロテインバーなどの出現により、手軽にたんぱく質の摂取ができるようになりました。今では、低カロリーなソーセージタイプやヨーグルトタイプ、普段のおやつの代わりになるようなクッキーやアイスまで、たんぱく質を強化した食品が店頭に溢れるようになりました。

食物繊維とビタミンが追随

たんぱく質強化食品と並んで注目されているのが、食物繊維が多く含まれた食品です。食物繊維は第6の栄養素と言われており、水溶性と不溶性の二つに別れています。水溶性は小腸で栄養の吸収をゆるやかにし、急な血糖値の上昇を抑えたりコレステロールを吸着し、からだの外へ排出する働きをします。不溶性は余分なものを大腸で吸着し、腸をきれいにしてお通じを整えてくれる働きがあります。どちらも重要な役割ですが現代人の食事では不足しがちな傾向にあるため、こまめに摂ることが大切です。そのため、コンビニ店頭に並ぶ食物繊維が配合された食品も、お菓子やクッキーなど色々な種類があり、その場で、手軽に食べられるものばかりです。
ビタミンに目を転じると、エネルギーの燃焼の補助をするB群や、抗酸化作用でからだの老化を防止するEやC、視力を回復するアントシアニンが多量に含まれるベリー系の商品など、飲料も含めて多種多様に品揃えされています。

なぜ、ここまで栄養補給食品が定着したのでしょうか?
一般消費者の間で、栄養素に対する知識が増加したからなのか?栄養補給食品が増えたから注目度が高まり、栄養素への理解が促進されたのか?鶏と卵の議論のようになりますが、マーケティング的な観点から見ると、最大の理由は消費者の知識が増えて需要ができたからだと推測します。知識が増えた背景には、マスメディアやSNSなどで栄養に関するワードを頻繁に目にするようになったこと、そして、インターネットによりそのワードを素早く検索できる時代になったことなどがあげられるのではないでしょうか。
第二の理由は、数多くのメーカーが色々な商品を開発したことです。1~2社のメーカーだけが商品開発をしたのでは、消費者の需要の高まりはそれほど望めません。
第三の理由は、ユーザーのニーズを素早く見つけるのに長けたコンビニチェーンが専門棚を設けたこと。どんなジャンルの商品もコンビニで取り扱うことにより定着した事例は多数あります。

いずれにしても、栄養補給食品は、「栄養は日々の食事からとることが重要だ」という概念を定着させてくれたと、私は思います。

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KEI

写真付きコラムの執筆。コミュニティクリエイター。フォーチュンテラー(タロット)。日本大学藝術学部写真学科卒業。

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