第3のミルクが人気!?

2021.08.31食べもの

豆乳以来の大ブーム

1978年に日本で初めての「豆乳」が発売された。5年後の1983年に第一次の豆乳ブームが到来する。そろそろ45年を迎えようとしている今、豆乳は第三次ブームとなり過去最高の売り上げを記録してると言う。豆乳は植物性の牛乳代替飲料の草分けとなったのだが、長く、豆乳に続く商品が登場しなかった。ところが、ここ数年、アーモンド、オーツ麦、ココナッツなどから作る植物性の牛乳代替飲料が立て続けに販売され、しかも市場が拡大しているという。業界では、「第3のミルク」と呼ばれ、新規参入企業も増えている注目のジャンルなのだ。

「第3のミルク」をけん引するのは「アーモンドミルク」だ。2020年には100億円を突破する市場となった。アーモンドミルクは抗酸化物質のビタミンEが豊富なことを売り物にしている。そのため美容を意識する女性層や健康志向の強い男性層から支持されていると言う。同様の理由で、ココナッツ、マカダミアナッツ、カシューナッツなども「第3のミルク」の原料として商品化されている。他にも、「オーツミルク」は、食物繊維が豊富なことが売り物で、やはり健康への意識が高い消費者を取り込むことに成功している。

こうした商品が生まれた背景には、健康管理や環境意識の高まりを受け、世界中で市場が拡大している「プラントベースフード」の考え方が存在する。「プラントベースフード」とは、植物性の代替食品なのだが、単に低カロリーでヘルシーということに留まらず、動物性食品が食べられない食物アレルギーを持つ人たちにとっては、「プラントベースフード」の存在は救世主的な存在と言っても過言ではない。牛肉の代わりに大豆ミートを使うことで、従来は食べることのできなかった料理が楽しめ、牛乳を飲めない人にとっては従来の豆乳だけだった選択肢が大きく広がったのだ。

もともと日本人は農耕民族であり、かつては動物性食品を食さなかったことを考えると、「プラントベースフード」も「第3のミルク」も比較的なじみ易い土壌があるのかもしれない。特に「第3のミルク」は、豆乳同様に、鍋やグラタンをはじめとする様々な料理にも使えるだけでなくナッツ類独特の風味を生かし、豆乳以上にスイーツやデザートとの相性が良い点が魅力的だと言える。健康に気を使っている人なら、「今日はお肉を食べて、明日はプラントベースにしよう」といったことが日常となる。つまり、植物由来がもたらす新しいフードスタイルを楽しむ時代が到来したと言えるかもしれない。

− writer

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甲斐 ツマオ

エッセイスト。漫画原作者。映像作家。

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