2021.06.28食べもの
飲食業のプロ向けの食材販売店である業務系スーパーマーケットが全国で人気を集めています。
業務系スーパーマーケットを運営する会社は、全国に120社以上存在します(フランチャイズ運営を含む)。共通点は、プロが使用する食材を一般消費者に提供するというコンセプトです。
2000年あたりから徐々に増えてきましたが、主婦に人気の店として脚光を浴びるようになったのはここ5年ぐらい。もちろん、各社とも業務拡大とともに店舗数が増えていき、認知が広がったことは大きいと思いますが、「他にも理由があったのでは?」と思い、新聞情報や10人程度の友人に聞き取りして調べてみました。
元々、プロが使う食材なので、品質への信頼感はあったようです。ところが、如何せん「量」が多い。核家族化が進む日本において1kg、2kgといった量は余らせてしまう可能性が高いのですが、にもかかわらず人気が高まっている。調べるにつけて、見えてきた結果は、意外なところにありました。それは、ここ10年で家庭内の事情が大きく変化したことにありました。
まず、冷蔵庫の大型化です。2021年3月の電気店における人気ランキングベスト5の平均容量は470リットルを超えています。10年前に比べて100リットル以上容量が増えています(出展:日刊工業新聞)。
次に、急速冷凍機能の性能向上があげられます。冷凍庫の容量も大きくなり、かつ、瞬間冷凍技術など今までになかった冷凍機能を備えた製品も増えています。同時に、見逃せないのが「フリーザーパック」が浸透したことがあります。100円均一ショップでも手軽に「フリーザーパック」が購入できるようになり、多くの方が2kgのお肉も500gづつに小分けして保存するようになりました。つまり保存環境が向上したということになります。
3番目の理由は、共働き所帯が増えたことがあるようです。週末にまとめ買いをし、同時に1週間分のレシピをその日に調理するという人も大勢いて、2kgのお肉も色々なレシピにすることにより飽きずに食べることができると言うのです。もちろん、業務用は量が多くて安いのが特徴ですから経済的にも家計の助けになるわけです。
こんな理由から業務用スーパーマーケットが脚光を浴びるようになったのですが、最後に、どんな商品が人気がなのか、ちょっぴりヒアリングしてみました。まずは、お肉類。若どりもも肉からローストビーフに最適な牛ヒレ1本物など。次に、冷凍フライもの。アジフライ、ヒレカツ、野菜かき揚げなど。肉もフライもとてもおいしいと評判で、某ランキング雑誌でも高い評価を獲得していました。他にも、冷凍のカット野菜は多種多様で様々なレシピに欠かせません。ステイホーム以来、ニーズが高まっているおやつ類は、パンケーキ、タルト、ワッフルが人気です。他にも、1リットル牛乳パック入りのゼリー系スイーツなど工夫をこらした商品が話題を呼んでいるようです。
業務用スーパーマーケットという新コンセプトが一般消費者に浸透するまで20年かかりましたが、その新コンセプトが新しい暮らし方を生み、新しい商品を生み出しました。時代の変化とともに、10年後には、また新しい業態のスーパーマーケットが生まれ、新しい暮らしが生まれるかもしれません。スーパーマーケットは、とても日常的な存在ですが、それゆえ、世の中の移り変わりを真っ先に反映させる鏡とも言えますね。