再生する温泉街

2024.01.30おでかけ

インバウンドに合わせたリノベーション

日本は、至るところに温泉があり、古くからその温泉の持つ様々な効能と温泉街の空気感に私たちは癒されてきました。しかし、今や温泉は日本人だけのものではなく、海外から日本にやって来る観光客も癒しを求めて温泉地に行くようになったと言われています。

外国人観光客にとって温泉地へ赴く目的は癒しだけではありません。彼らにとっては、情緒溢れる街並みに触れ、その土地ならではの歴史や文化を体験できることがもう一つの旅の醍醐味のようです。着物の着付け体験や伝統工芸の製作体験などは、特に人気のアクティビティだと聞きます。また、温泉でからだのケアができるということも、既に多くの外国人観光客には知られています。こうした背景から日本へ旅行したら、一度は日本の温泉に入ってみたいと思う方が年々増えており、観光客の意識調査データを見ても、今や7割の方が温泉旅行を希望されています。

こうしたインバウンド需要に合わせ、由緒ある老舗温泉までも新たなサービスを導入する宿が増えています。国内でも人気の高い北海道の登別温泉では、かつては北海道周遊プランが人気のため温泉宿への宿泊は1泊程度が相場でした。しかし、コロナの期間中に客が減ったため、少しでも長く宿泊してもらうために滞在型へとサービスをシフトしました。その土地ならではの豊かな自然に着目し、アウトドアアクティビティに注力、ビギナーから上級者まで幅広い層が楽しめるようなツアーを開設しました。これにより、リピーターも増え、SNSを通してコアなアウトドアファンの間に情報が広がりました。
他にも、英語のプロモーションを強化したり、伝統的な日本家屋の温泉宿に、敢えて欧米人が好むカフェテリアを設けるなどインバウンド誘致への果敢な取組みをしています。

世代によって変わる人気エリア

もし、あなたが、どこか良い温泉に行きたいと思ったとき、「あそこも良さそう」「こっちも素敵」と、選択に悩んでしまうくらい日本には魅力的な温泉がたくさんあります。ここでは、参考として世代別に人気の温泉を紹介していきます。

20〜30代の人気一位は「箱根温泉」。何と言ってもアクセスの良さが人気の理由です。日帰りでも行くことが出来て、忙しい日々の合間を縫ってのリフレッシュにもぴったりです。「熱海温泉」は箱根温泉に次いで人気の温泉で、アクセスの良さももちろんですが、そのレトロな街並みが何とも言えない風情があり、SNSで見た熱海の風景に惹かれて訪れるひとが多いそうです。

40〜60代の人気一位は「草津温泉」。関東にお住まいの方に絶大な人気を誇る温泉で、泉質は神経痛や関節痛などからだの様々な不調によく効くと言われるほど良質です。それにもまして、街全体が温泉の香りに包まれ、温泉まんじゅうを片手に人々が浴衣姿で街を行き交う光景は、これぞ温泉街と呼ぶに相応しい雰囲気を持っています。「草津よいとこ、一度はおいで」と民謡にも歌われる歴史と伝統を持ち、有名な「湯畑」や「湯もみ」は一見の価値があります。
他には、秋田の「乳頭温泉」が上位にランキングされています。乳頭温泉は決して交通の便が良い場所ではありません。にもかかわらず憧れの温泉地で常にトップを争う日本屈指の温泉です。「10種類以上の異なる泉質の温泉を一度に楽しめる」「雄大な自然に囲まれて情緒あふれる時間を過ごせる」「美味しいご飯がいただける」などなど、一度は行ってみたいと思わせる魅力に溢れています。

寒い冬に、あたたかくて懐かしい、それでいて新しい魅力も加わった日本の温泉へ出かけてみてはいかがですか?

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KEI

写真付きコラムの執筆。コミュニティクリエイター。フォーチュンテラー(タロット)。日本大学藝術学部写真学科卒業。

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