新しいシアターの在り方

2022.12.30おでかけ

家でも、移動中でも、どこでも映画をストリーミングで楽しむことは、もはや当たり前になってきた時代。それに伴い、シアターという場所も変わりつつあります。”映画を観る”だけにとどまらない新しい映画館の在り方をご紹介します。

映画を観ること自体は変らないのですが、”爆音上映”という手法が人気を集めています。爆音上映とはその名の通り通常時よりも大きな音で上映されることで、映画用ではなく音楽ライブ用の音響で観るため、臨場感と迫力は比べものになりません。大音量のメリットを発揮できるミュージカル映画はもとより、アニメ映画の主題歌を歌う歌手のコンサート映像なども上映されています。中には「応援上映」と言って掛け声や歓声がOKのハイブリット型のものもあります。この流れを受けて、映画に限定せず、ライブイベントを映像を通じてシアターで見る「ライブビューイング」が活発に行われるようになりました。対象はコンサートやスポーツイベントなど多種多様に広がりつつあります。「ライブビューイング」を専門に扱う会社も誕生し、今や映画の上映を凌ぐ勢いと言っても過言ではありません。

一方、個性のあるミニシアターやイベントスペースとしての魅力も再発見されています。
キャッシュレスのミニシアター「シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』」は、2022年1月にサブカルチャーの街、下北沢にオープンしました。オンラインとオフライン上映をミックスした取り組みや、オリジナルマガジンの発行やオリジナルグッズ販売など、音楽や演劇などサブカルを支えてきた街の個性を生かした新たな交流地点として映画を観ることだけに止まらない映画館の在り方を提案しています。

約30年前に閉館して以来、町の片隅に取り残されていた映画館を改修したMUSEUM & EVENT & SNACK スペース「元映画館」も話題になっています。JR日暮里駅から徒歩15分ほどの下町風情が残る街中にあり、貸切上映で映画を楽しめるサービスや展示、音楽ライブ、マーケットイベントなど様々な目的で活用されています。また、かつて映写室だった場所は、不定期ながら「スナック”シネマのあとで”」に変わり、トイレの中には上映中のランプが光る、遊び心のある店になっています。

これからのシアターには、映像や音楽に留まらずバーチャルをも包含した空間として、エンタテイメントの新たな可能性にチャレンジする場所として期待したいと思います。

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KEI

写真付きコラムの執筆。コミュニティクリエイター。フォーチュンテラー(タロット)。日本大学藝術学部写真学科卒業。

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