変化しながら再生する居酒屋

2022.10.20おでかけ

働く人々にとって、仕事帰りに立ち寄る居酒屋は、長い間、楽しいコミュニケーションと明日への活力を提供してくれる大切な場でした。人手不足やコロナ禍の荒波の中で新しく変化し、再生した居酒屋の姿が今注目を集めています。
今回は行きたくなるような魅力たっぷりなお店もいくつかご紹介します。

ネオ居酒屋でつくる新しい思い出

皆さんは「ネオ居酒屋」をご存知でしょうか?
”Neo/ネオ”という言葉はギリシャ語で新しいという意味があり、英語では復活という意味があります。今、国内のメディアを賑わす「ネオ居酒屋」は、大手コーヒーチェーンが、ネオ居酒屋「キッサカバ」を出店したことで知られるようになったと言われています。明確な定義はありませんが、居酒屋が、大衆酒場などのサラリーマンや男性のお客さんの溜まり場・・というような従来のイメージから脱却し、若い世代や女性でも気軽に楽しめるようにと、こだわって作られたお店のことを「ネオ居酒屋」と呼んでいるようです。

具体的には、「ニュートロ」と呼ばれる、”ニュー”と”レトロ”のどちらの要素もあるお店が多く、例えば、古民家だけど、程よくおしゃれで落ち着く内装に作られている。といったものになります。
他にも、ロゴマークなどのアイデンティティーにもこだわりをもった店が多く、店内で使われるグラスはもちろんのこと、様々なロゴ入りグッズを販売している店もあります。ただお酒を飲むだけでなく、ニュートロな空間を楽しみながら思い出を写真に残したり、お家居酒屋をしたくなるようなグラスを買ってみたり・・広がりのある楽しみ方を提案しています。

新しい居酒屋のかたち

いくつか具体的に、お店をご紹介しましょう。

一つ目の東京の学芸大学駅にある「酒場浮雲」は博多で修行をされた店主がやっている、ジャンルレスな創作料理とお酒を楽しめるお店です。
お店の名前にちなんだ浮雲のかわいいイラストが描かれたグラスや、ふらっと立ち寄れるような店内の柔らかい雰囲気がお一人様にもカップルにも好評を博していると言われています。

二つ目の「烏森百薬」は新橋駅からすぐの烏森神社の参道に面した居酒屋です。
小料理屋さんのような落ち着いた雰囲気のお店ですが、実は画期的なシステムが取り入れられています。お店のオリジナルのメニューは少しだけで全国の名店から取り寄せたおつまみをメインに、飲み物もワンコイン式のセルフサービスにしています。このシステムがあることで仕込みや調理に時間を取らないため、店主は、お客様に楽しんでいただくための情報収集に集中できると言います。また、コロナ禍の影響もあり飲食店、特に居酒屋は人手不足が問題になっていますが、このシステムはこれからの時代に適合した一つの業態になって来るかもしれません。

誰にとっても心地のいい空間で飲むお酒は、私たちの心をゆるっと癒してくれるものです。しばらくの間は、ネオ居酒屋を注目してみることにします。

− writer

placeholder image

かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

recommend

おすすめのコラム