リサイクルとリユースの今

2024.07.11暮らし

現代社会において、リサイクルとリユースは環境保護と持続可能な社会を実現するための重要な要素となっています。これらの取り組みは資源の有効活用や廃棄物の削減に貢献し、地球環境の保全に大きな役割を果たしています。今回は、リサイクルとリユースの現状について、いくつかの興味深い例を交えながら考察してみましょう。

注目の化学リサイクル

リサイクルとは、廃棄物を再資源化し、新たな製品として生まれ変わらせるプロセスを指します。特に、プラスチック、金属、紙などの素材はリサイクルの対象として広く知られています。例えば、日本では家庭ごみのリサイクル率が年々向上しており、2020年には約20%に達しました。これは、政府や自治体の取り組みだけでなく、個々の市民の意識向上によるものです。

一方で、プラスチックごみのリサイクルには依然として課題が多く存在します。特に、プラスチック製品の中にはリサイクルが難しいものが多く、結果として焼却処分や埋立地に送られることが少なくありません。これを解決するために、最近では化学リサイクル技術が注目を浴びています。化学リサイクルは、プラスチックを化学的に分解し、元のモノマーやオリゴマー※に戻すことで、高品質なリサイクル材を得る方法です。この技術が普及すれば、より多くのプラスチックごみを再利用することが可能になります。

身近な例として、ペットボトルの30%ほどが再商品化させたペットボトルと言われるほどリサイクルされています。大手コンビニでは、自社でリサイクルペットボトルの工場を作るといった動きも見せているように、ペット素材は何度も再生することが可能なリサイクルの優等生です。

少し面白い例としては、コロナ禍で使われたアクリルパーティションが大量廃棄され、行き場のない状態でしたが、推し活グッズとして人気のキーホルダーやアクスタ(アクリルスタンド)に再利用されて好評を博しています。(これはリユースに近いのかもしれませんが)

※モノマー:ポリマー(プラスチック)を構成する最小の単位です。 エチレンやプロピレンがこれに当たります。
※オリゴマー:同種の分子の数が2個から多くても20個程度からなり、比較的に分子量の低い重合体。

リユースの未来

リユースとは、廃棄される前に製品を再利用することを意味します。リユースは、製品の寿命を延ばし、新たな資源の消費を抑える点で非常に効果的です。リユースの例として、家具の再利用や古着のリサイクルショップの活用が挙げられます。

興味深いリユースの事例として、「認定リユース」があります。これは、アパレルメーカーが提供するサービスで、ユーザーが着なくなった自社の衣料品を回収し、クリーニングやアイロンがけ、検品をした後、「認定リユース品」として再び店頭販売する仕組みです。有名ブランドの商品が、ものによっては90%オフで手に入ったり、過去の人気シリーズで手に入らない商品などが手に入ると評判です。もともと自動車メーカーでは認定中古車という同じ発想のビジネスモデルが成功していますので、今後は、他の業界でも「認定リユース」が広がるのではないかと思います。

また、リユースのもう一つの面白い例として、「アップサイクル」という概念があります。アップサイクルとは、不要になった物を単に再利用するのではなく、元の価値よりも高い価値を持つ製品に変えることを指します。例えば、古い自転車のパーツを使って新しい家具を作るプロジェクトや、廃材からファッションアイテムを生み出す取り組みなどがこれに該当します。アップサイクルは創造性と環境保護を両立させる素晴らしい方法です。

リサイクルとリユースは、現代社会において重要な役割を果たしていますが、まだまだ改善の余地が多く残されています。最近話題になっている家庭用の廃食用油を航空燃料に変える技術など、リサイクル技術の進歩や、リユースの新しい方法の開発によって、私たちはより持続可能な社会を目指すことができます。そして、こうした取り組みを積極的に推進し、次世代に美しい地球を引き継いでいくことが求められています。

− writer

placeholder image

KEI

写真付きコラムの執筆。コミュニティクリエイター。フォーチュンテラー(タロット)。日本大学藝術学部写真学科卒業。

recommend

おすすめのコラム