”量り売り”を生活に

2024.06.21暮らし

量り売りの魅力

まず、量り売りの最大の魅力は、必要な分だけ購入できる点にあります。食品の場合であれば、レシピに必要な分だけの調味料やスパイス、あるいは少量だけ欲しい高級食材など、無駄なく使い切ることができます。結果として家庭での食品廃棄が減り、食品ロスの削減に大きく貢献します。オリーブオイルのバルクショップ(量り売り店の令和的な呼称)では、10g単位でオイルを販売しているので、1瓶250gで1万円もするような超高級オーガニックオイルも気軽に試すことができます。

また、量り売りはプラスチックごみの削減にも役立ちます。一般的なスーパーで売られている多くの製品は、プラスチック包装に包まれています。しかし、量り売りでは再利用可能な容器を持参することが奨励されており、これにより使い捨ての包装材の使用が大幅に減少します。もちろん、容器を持参しなくてもお店に用意された専用容器で購入することはできますが、最近では、エコ意識の高い消費者たちがマイ容器を持参し、積極的に量り売りを利用する姿が少しづつではありますが見られるようになりました。

さらに、量り売りは消費者に対して新しいショッピング体験を提供します。店頭で直接商品を選び、自分の手で量を決める過程は、買い物の楽しさを増す要素となります。特に、子供たちにとっては、重さや量の感覚を学ぶ良い機会にもなります。また、店員とのコミュニケーションを通じて、商品についての知識を深めることができるのも魅力の一つです。

課題と可能性

量り売りには課題もあります。衛生面での管理が難しいことや、特定の設備やスペースが必要であるために導入コストがかかることなどです。そのため、量り売りを導入する店舗はまだ限られています。しかし、自動計量機や衛生管理システムの導入など、これらの課題を克服するための技術革新も進みつつあります。

今後、量り売りが広がるためには、消費者の意識改革も重要です。便利さや価格だけでなく、環境への影響や持続可能性を考慮した購買行動が求められます。また、教育機関やメディアを通じて、量り売りのメリットや利用方法についての情報発信を強化することも必要です。

量り売りは、環境保護や資源の有効活用に貢献するだけでなく、消費者に対しても新しい価値を提供します。従来は食品が主役でしたが、すでに、洗剤や化粧品などにも展開されていますので、この購買スタイルがより多くの人々に受け入れられ、広がっていくことを期待したいです。量り売りが当たり前の存在となり、持続可能な社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出す日も遠くないと思います。

昭和の量り売り(乾物)
令和の量り売り(洗剤)

− writer

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かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

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