愛犬家の最新事情

2023.12.31暮らし

いつでもどこでも

「愛犬と旅行」というワードを検索すると、とても多くの旅行サイトやプランがヒットすることでわかるように、いまや愛犬と一緒に旅行をすることが当たり前の時代になりつつあります。犬との同室が可能なだけではなく、人と同様に犬も存分に楽しめるような工夫がされている宿も増えてきています。

例えば、夜の鳴き声を遮断する防音対策が施された施設や犬が自由に遊び回れる専用ドッグランがある施設などは、もはや特別なものではありません。最近では、楽しい食事の時間に犬も同席できること売りにしている施設や栄養士が監修した犬の健康に特化した「わんちゃん専用のコースメニュー」や「おやつバイキング」など、愛犬との旅の特別感が感じられるようなサービスが続々と登場しています。設備面でも、客室の床を滑りにくい素材に変えたり、犬専用の温泉(ドッグスパ)がついた個室露天風呂を整えたりと、愛犬との非日常を満喫できるような施設が国内の各所にできています。

一方で、できれば愛犬を旅行に連れて行きたいけれど、急な事情で一時的に預けなければならない場合、ペットホテルを利用する人が増えているようです。ペットホテルのサービスは十年以上前から定着していますが、最新のペットホテルではただ預かってくれるだけではなく、たとえ一時であっても犬がより心地よく過ごせるような工夫がされています。例えば、設備面では、ストレスを減らすために完全個室制や2匹一緒に過ごせるような広々とした個室を導入する施設、さらには24時間、監視カメラによる見守り付きの施設などが目にとまるようになりました。サービス面では、必ずフリースペースでの遊びの時間を設けていたり、専門的な知識を持ったスタッフが犬の様子を細かくメール日誌にして送ってくれるサービスなど、愛犬家にとって安心できるサービスが整いはじめています。

愛犬の衣食住も気にかけたい

人と同様に犬の衣食住、つまり食事、ファッション、スペースに対しても気を遣う飼い主が増えています。

食に関しては、数年前、「わんちゃん用スイーツ&デザート」が雑誌やネットを賑わせた事がありました。この頃から、ドッグフードやおやつの栄養面により一層注目が集まり、極力、余計な食品添加物を含まないものや新鮮な肉、野菜を瞬間冷凍して作った冷凍食品など、犬が少しでも健やかに長生きできるようなものを開発するメーカーが増えてきました。今では、犬の年齢による体質の変化に合わせて選べるように栄養成分などを工夫したドッグフードまで登場しています。

衣に関しては、そもそも犬に服を着せるのは、体温調節、紫外線対策や術後の傷の保護などが目的でしたが、Instagramに「犬ファッション」のハッシュタグの記事が多数あるように、いまや多くの愛犬家がファッション的な視点でコーディネートするようになりました。もちろん、犬のファッションには昨今の猛暑を乗り切るような機能性に着目したものを開発しているメーカーもありますが、他方、犬種や毛色など犬の個性に合わせてカラーコーディネートを提案する雑誌やお店もあります。中には、愛犬と飼い主のシミラールックを作っているメーカーまで現れ、「わんちゃんファッション」は留まるところを知らないほどの勢いです。

最後に住に関してですが、前述のペットホテルや宿以上に、犬が自宅に居るときのスペースは重要です。昭和の時代、犬は犬小屋が定番でしたが、室内で人と一緒に暮らすことが一般的になっている現在では、犬が過ごすスペース、特に寝る場所がとても大切です。ペットアドバイザーの方の意見を聞くと、犬が横たわれる程度の広さがあればベストで、広すぎても狭すぎても犬は落ち着くことができないそうです。また、犬は音に敏感なので、スピーカーのそば、テレビボードの下、外部の音が気になる窓際などはダメだとのこと。こうしたアドバイスは愛犬家の中では浸透しているようで、家を新築する場合は、予め設計士の方に犬のスペースを計算に入れて設計を依頼する施主さんも増えています。住宅メーカーも、そのあたりの知識と対応を備えておくことが常識になりつつあるようです。中には、犬のために家をリフォームする方もいると聞きます。

愛犬家の皆さんの最新事情を見聞きすると、犬は、もはや、愛犬ではなく、純粋に家族であることを実感します。だからこそ、限りなく人と同じ環境作りやサービスが、これからも増えるのだろうと思います。

− writer

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かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

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