変わる間取り~最新の住宅事情

2022.10.30暮らし

コロナ禍がもたらした新しいスタンダード

私たちにとって住居とは何でしょうか?生活スタイルはもとより、日々の気持ちも左右する大切なものです。だからこそ、誰しも、慎重に住宅を選びたいところでしょう。
生活の変化に合わせて、家の在り方も変化してきています。コロナ禍をきっかけとした変化も含めて、最新の住宅事情についてご紹介します。

最も大きく変化したのが、リモートワークの定着です。これにより、ワーキングスペースの需要が高まり3畳くらいの個室を設けた間取りが増えています。ワーキングスペースまでは確保できない場合も、リビングやウォークインクローゼットのなかにカウンターを取り付けて、いざというときのリモートワークに対応する工夫も見られるようになりました。

パントリー(キッチン側の物置的なスペース)の充実も変化のひとつです。クローゼット型の0.5畳〜1畳ほどのものが主流で、単に便利機能としてのパントリーだけでなく、冷凍庫をプラスして貯蔵スペースとして活用するケースも増えています。
これらは、パンデミックや台風など様々な災害が続いたことから学んだ知恵でしょうか?

忙しい毎日の味方

今一番ホットな話題は、ランドリールームです。ランドリールームとは”洗う・干す(乾かす)・取り込む・アイロンをかける・畳む”が全てできる部屋のことで、次の作業のために部屋を移動しなくて済み、とても効率良く家事の負担を減らすことができます。本来、ランドリールームは、室内干しができるスペースなのですが、実際には、乾燥機を設置をする人が多く、さらに、ランドリールームに隣接するバスルームが乾燥室になるような設備も一般化しつつあります。先に紹介したパントリーもそうなのですが、共働き世帯が増えたことにより、主婦の家事負担を「時短」という形で減らすように工夫された間取りと言えます。

新築もリフォームも、以前に比べて、生活空間をしっかりゾーニングする傾向が高まっています。3LDK、4LDKといった従来のシンプルな作りから、家族のひとりひとりの利便性や発展性を考え、ゾーニングの工夫でワーキングスペース、パントリー、ランドリーなどを設ける。同時に、時代の変化や暮らしの多様化に合わせて拡張や縮小も可能な自在性も検討する。住宅に対する、こうした緻密、かつフレキシブルな考え方が、心地よく健康的な暮らしを作るベースとなる住思想の主流になっていくと思います。

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かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

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