2025年の食のトレンド予測

2025.01.31食べもの

2025年の日本における食のトレンドは、社会経済や環境の変化を反映し、以下のような特徴が顕著になると予想されます。


1. 高齢者向け「健康維持型食品」の普及
少子高齢化が進む中、高齢者の健康をサポートする食品がさらに重要視されます。栄養価が高く、消化吸収が良い「ソフトフード」や、骨や筋肉を維持するための高タンパク・低カロリー食品が人気を集めるでしょう。また、歯の健康や嚥下機能をサポートする形状やテクスチャーの改良も進みます。

2. 猛暑に対応した「涼感食品」や保存性の高い食品の需要増加
気候変動による猛暑が日常化する中、冷たい食品や暑さに対処する「涼感食品」が引き続き注目されます。例えば、電解質を補給できるアイスやゼリー、冷却効果のあるハーブを使用した飲料が人気となるでしょう。同時に、暑さで食材が傷みやすくなることから、保存性の高いレトルト食品や冷凍食品も引き続き需要が高まると考えられます。

3. 少人数世帯向け「小容量・簡便食品」の拡充
少人数世帯が増加する中、食品のパッケージサイズや量がより多様化すると予測されます。特に、1人分の食事を簡単に調理できる冷凍食品や惣菜、1食分のカット済み野菜、少量サイズのスナックや飲料の需要が拡大するでしょう。また、シェアや贈答に適したパッケージデザインも進化すると考えられます。

4. 物価上昇と実質賃金停滞を反映した「節約志向」と「代替食品」
物価上昇が家計を圧迫する中、コストパフォーマンスの高い食品がますます求められます。低価格で栄養価の高い食材や、鶏むね肉や豆腐などを使った「節約レシピ」の人気が続くでしょう。また、植物性タンパク質や昆虫食、代替肉など、安価で環境負荷の少ない新しい食品技術が受け入れられやすくなりそうです。

5. 食事の効率化を追求した「スマート調理」
共働き家庭や単身世帯の増加に伴い、調理の手間を省く技術やサービスが広がります。自動調理機やスマートキッチン家電を活用したミールキット、電子レンジで調理可能なインスタント食品がさらに進化すると考えられます。また、定期的に届くサブスクリプション型の食品宅配サービスも需要を伸ばすと思います。

6. 食品ロス削減と持続可能性への関心の高まり
物価上昇や環境意識の高まりから、食品ロス削減のための取り組みが進むと思います。賞味期限が迫った食品を手頃な価格で提供するアプリや店舗がますます活発化すると予想されます。また、食材の無駄を減らすレシピや、再利用可能なパッケージも支持されるでしょう。また、猛暑の影響で品質は変わらないのに見た目が少し悪い「規格外野菜」などが増えており、規格外野菜の直接販売やこれらを活用した加工食品などにも注目です。

7. コミュニティ型飲食体験の進化
孤立感の増加が問題となる中、地域やオンラインで食事を共有する場が注目されます。「シェアキッチン」や「コミュニティダイニング」といった取り組みが普及し、人々が食を通じてつながる場を提供する動きが増えそうです。


2025年の食文化は、社会的課題を解決しつつ、個々のニーズに合わせて進化すると考えられます。「健康」「効率」「持続可能性」を軸に、多様性と柔軟性が求められる時代に突入していくと思います。

− writer

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甲斐 ツマオ

エッセイスト。漫画原作者。映像作家。

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