馬肉やジビエの魅力

2024.09.30食べもの

馬肉やジビエは、一般的な畜産肉とは異なる風味や食感を持ち、それが多くの料理愛好家やグルメに支持されている理由の一つです。また、これらの食材には栄養面でも優れた特徴があり、健康志向の高まりとともに需要が増しています。

馬肉は日本独特の食文化

馬肉は熊本県や福島県などで古くから食されており、「さくら肉」という愛称で親しまれています。歴史的に馬は重要な働き手であり、同時に貴重な食材でもありました。特に、馬刺しは、今や全国的な居酒屋メニューとして定着した感がありますが、元々は熊本が発祥の生の馬肉料理で、地元の居酒屋やレストランでは定番のメニューです。熊本の馬刺しはその柔らかい食感と、さっぱりとした味わいが特徴で、食べることで地域の伝統や文化を感じることもできます。馬肉の特徴は、その低カロリーで高タンパク質な栄養価にあります。牛肉や豚肉と比較して、脂肪分が少なく、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、ダイエットや筋力強化を目的とした人々に支持されています。また、馬肉は臭みが少なく、刺身や焼肉、さらには鍋料理など、さまざまな調理法で楽しむことができます。

欧米では馬肉を食べることはほとんどありません。なぜなら、馬は犬・猫以上に人間の友だちとして位置づけられているからです。古いアメリカ映画で馬と話しているシーンをよく見かけますが、彼らは馬は友だち同様に話し相手になると思っています。このことを表現した有名な慣用句があります。”I could eat a horse!” これは、直訳すると「馬を食べることができる」ということになりますが、"I'm so hungry!"~馬を食べることができるくらい、とてもおなかが空いているという意味になります。

熊本の農場

ジビエがブームに

ジビエとは、狩猟によって得られる野生の獣肉を指し、主に鹿肉や猪肉が日本では一般的です。ジビエは、その独特の風味と食感が特徴で、近年では「自然の恵み」として、持続可能な食材としても注目を集めています。狩猟による供給のため、天然の生態系を保つ取り組みとも結びついており、環境保全の観点からも評価されています。

ジビエの魅力は、季節感を楽しめる点にあります。日本では、秋から冬にかけて狩猟が解禁されるため、寒い季節にしか味わえない特別な料理として楽しまれています。フレンチやイタリアンのレストランでも、ジビエ料理は季節限定のメニューとして提供され、贅沢な味わいを楽しむことができます。

ジビエのもう一つの魅力は、その栄養成分と言われています。野生動物の肉は、飼育される家畜に比べて自然な餌を食べて育つため、脂肪分が少なく、良質なタンパク質やビタミンが豊富です。鹿肉は低脂肪かつ高タンパク質であり、ビタミンB群や鉄分が多く含まれています。特に、アスリートや健康志向の人々には、筋肉の修復やエネルギー供給の観点で理想的な食材です。また、猪肉は独特のコクと風味を持ち、冬場の鍋料理やローストに最適です。

日本の食文化の中で根付いている馬肉やジビエといった伝統的な食材は、現代においてもますます注目を集めており、今後もその価値が広がっていくと思います。

猪肉
鹿狩り

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かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

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