薬味を愛し、愛され

2019.10.10食べもの

脇役から準主役へ

そうめんや冷や奴に何気なく添えられ風味を加えるもの~これが従来の薬味のイメージでしたが、生姜やねぎといった和の薬味に加えて洋のハーブ類、さらには東南アジアの薬味も加わり料理の味を決める準主役級の存在として注目を浴びるようになってきました。

ねぎ、大根おろし、かいわれ大根、玉ねぎ、生姜、みょうが、大葉、にんにく、わさび、柚子、柚子胡椒、山椒、唐辛子、すだち、かぼす、海苔、かつお節、梅、からし、三つ葉、胡麻、レモン、パクチー、ミント、クレソン、バジル等など、ざっと挙げてもこんなにあります。

最近、料理の風味だけではなく、薬味が健康に与える効果にも衆目が集まっています。
例えば、生姜は血行促進、胃腸の働きを改善、消化不良予防などに効果があります。ねぎは殺菌作用、血流促進。みょうがは、冷え性やむくみの改善、消化促進など。ほかにも、薬味は様々な健康効果が知られています。薬味とはもともと東洋医学の用語でした。中国では甘味・苦味・酸味・辛味・塩味の5つの味が健康維持に効果的であり、これを「五味」と呼んでおり、後に「薬味」に変化したのだとか。

私自身、テレビの料理番組で見た「魔法の薬味」を冷蔵庫に常備しています。ねぎ、生姜、みょうが、大葉、かいわれ大根をみじん切りにしたものです。これを、そうめん、お豆腐、サラダはもちろんのこと、色々な料理にプラスして使います。変わったところでは、しらすのピッツァに魔法の薬味を加えると最高の味に変わりました。

実は、最近プラスした薬味があります。それが「スーパー大麦」。薬味なの?といわれると、一般的には「?」かもしれませんが、五味に「食感」という風味を加えてくれるので、私は「六味」だと思っています。料理の味をワンランク上に引き上げる薬味。これが健康に良いのですから、まさに「薬味を愛し、愛され」ですよね。

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甲斐 ツマオ

エッセイスト。漫画原作者。映像作家。

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