「ファイトケミカル」をご存知ですか?

2019.09.04食べもの

「ファイトケミカル」。
ここ数年、健康に気を使っている方なら耳にしたことがある言葉ですよね?
英文で表記すると“phytochemical”と書きます。音だけを聞いて”fight(闘う)”だと思っていらしゃる方も多いようです。フィトケミカルと発音される方もいますね。
実際にはどんなものかと言うと、植物が害虫や太陽(紫外線)などから自分を守るために創り出した化合物のことです。ねばねばだったり、色素や辛味だったり、臭いだったりもします。それらを総称してファイトケミカルと呼んでいます。
このことを知ると、植物の中で色々なものと闘う化合物なので、あながち”fight(闘う)”でも間違いではなさそうに思えてきますよね。

なぜ、最近、このファイトケミカルが注目されているかというと、ビタミンやミネラル、タンパク質といった必須栄養素ではないけれども、どうやら、ファイトケミカルを摂取することにより人間の体内で必須栄養素の吸収を高めたり、抗酸化作用があったりと、健康を維持するためには摂取すべき重要な成分であることが明らかになってきたからです。

ファイトケミカルの中でも有名なものは、抗酸化作用がある通称ポリフェノール系と呼ばれる化合物です。ポリフェノールには、アントシアニン、イソフラボン、カテキンなどがあります。それぞれ、赤ワイン、大豆、茶などに多く含まれています。ポリフェノールは水に溶けやすい性質を持っていますが、脂溶性の性質を持っているファイトケミカルであるカロテン系のものも有名ですね。人参に含まれるβ-カロテンやトマトのリコピンなどがそれです。これらを含んだ加工食品も数多く発売されています。

ファイトケミカルが注目されるようになった、もう一つの理由があります。
それは、サプリメントが日常的になってきたからです。ビタミンA、B、C、D、Eや色々な栄養素を含んだマルチビタミンのサプリメントなどが数多く販売されていますが、自然の食品と同じようにビタミンと同時にファイトケミカルまで含有しているものは稀です。(もちろん、それを含んだレベルの高いサプリメントもありますが)
ですから市販のサプリメントでは、ビタミンCの含有量を「レモン●●個分」などと表記されていて、それはそれで正しいのですが、ファイトケミカルが含まれないので、「体内に吸収されにくいのでは?」とか、「抗酸化作用が弱まるのでは?」と言った疑問を呈する声が高まってきました。ビタミンなど必須栄養素への認識が定着し、さらにファイトケミカルの認知向上により、自然の食品は実に見事に様々な栄養素が吸収できるようになっていることを改めて気づかされたのです。

もちろん、サプリメントを否定するものではありませんが、やはり、毎日の食事の中で、自然の恵みを活かした栄養素を、おいしく、バランスよく摂り、それによってからだを整えることが現代人には大切ですね。

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かんのようこ

フリーライター。イラストレーター。絵本や「食」にまつわるエッセイなど執筆。

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