新しい働き方の潮流

2024.09.12暮らし

近年、働き方が多様化する中で、「スポットワーク」や「退職者の登録雇用」などが注目されています。これらの働き方は、従来のフルタイム雇用や長期的な労働契約とは異なり、より柔軟で短期的な労働形態を提供するものです。今回は、現状、背景、そしてそのメリットや課題について探ってみます。

スポットワークとは?

スポットワークは、単発や短期間で必要となる仕事に対して、その都度人材を募集・雇用する形態です。例えば、繁忙期のアルバイト、イベントスタッフ、配送ドライバーなどがこれに該当します。インターネットやアプリを通じて迅速にマッチングが行われ、短期間での労働契約が成立するため、働く側も雇う側も迅速かつ柔軟に対応できるのが特徴です。

スポットワークの人気が高まっている背景には、技術の進化とライフスタイルの変化が大きく影響しています。デジタルプラットフォームの普及により、企業と求職者がより簡単に結びつくことができるようになり、即時性の高い雇用契約が可能となりました。また、ライフスタイルの多様化も無視できません。副業解禁やフリーランスの増加に伴い、固定的なフルタイム労働ではなく、自分のスケジュールに合わせた柔軟な働き方を求める人が増えています。特に、若い世代や育児・介護などで時間の制約がある人々にとって、スポットワークは魅力的な選択肢となっています。好きな時間に働けること、特定の期間だけ仕事に集中できることは、ワークライフバランスを保ちながら収入を得る手段として人気を集めています。

スポットワークを始める人の働く理由も様々です。例えば、運動不足解消です。デスクワークがメインで運動不足を感じている会社員から健康のために運動を取り入れたい定年退職後の人まで、”からだを動かしたい”気持ちのある利用者が引越し作業などのからだを動かす仕事に従事しています。
経験を目的としたスポットワークでは飲食店のオープンなど新たな業界での起業を目指している人が気になる職種で働き、その経験を起業準備の一環として活かす使い方もあります。また、経営者が若手の気持ちを体感する目的や市場調査のためにスポットワークを利用するケースもあるようです。

1日単位での復職?

一方で、退職者を対象とした臨時雇用も注目されています。定年を迎えた後でも、働きたいと考えるシニア層が増えており、企業もその経験やスキルを活用したいと考えています。退職後の生活における収入の補填や、社会との繋がりを維持したいという動機から、シニア層が臨時雇用に積極的に参加しています。定年退職者以外でも、専門的なスキルや豊富な経験を持つ退職者は、短期的なプロジェクトやコンサルタントとしての需要が高まっています。これにより、企業はコストを抑えながらも質の高い労働力を確保でき、退職者にとってもフレキシブルに働ける場が提供されるというウィンウィンの関係が築かれます。

大手商業施設では元従業員が1日単位、数時間から勤務できる独自の人材マッチングサービスを取り入れています。このサービスは近年利用者が増加しており、接客業においての労働者不足の解消につながる画期的なサービスとして注目されています。利用者は事前に商業施設の研修をオンラインで1時間ほど受け、その後就業時に必要なスキルの有無や経験などを事前に登録し、応募できる仕組みです。また事前登録の際は会計や接客など細かくスキルを記入できるため、店舗側と応募者側双方にとって質のいいマッチングが行われやすいように工夫されています。

労働市場の流動化が進む中で、こうした柔軟な働き方は今後さらに拡大していくと考えられます。企業も個人も、テクノロジーの進化をうまく活用し、より良い働き方を模索し続けることが求められています。スポットワークや退職者の臨時雇用は、今後も多様化する社会において重要な役割を果たすでしょう。これからの労働環境がどのように変化していくか、引き続き注目が必要です。