30年前を見て、次の時代を考える

2023.06.15暮らし

当サイトを運営する株式会社日本アクセスは、今年で創立30年を迎えました。30年前と現在とでは食もライフスタイルも、ずいぶん違いがありそうですが、実際はどうなのでしょうか?今回は30年前の日本では、どんなものが流行し、人々に受け入れられていたのか、いくつかの視点から探ってみたいと思います。

バブル崩壊と新しい芽吹き

30年前というと1993年、バブルが完全に終了した年と言われています。同時に、平成が始まって5年が経過し様々な分野で新しい流れが芽を出し始めた時代でもありました。日本において、それまでは少しマイナーなイメージがあったサッカーが、Jリーグの誕生で一躍脚光を浴びるようになりました。ファッションに目を向けると、バブルの象徴とも言える派手なボディコンシャスが終わり、真逆とも言える「古着」が流行しました。他には、横乗りスポーツ(スケートボード、スノーボード、サーフィン)のファッションやアウトドアプランドが流行し、女子高校生を中心に大ブレークした「ルーズソックス」が話題を呼んだのも、この年でした。

食にまつわるトピックス

1993年、フィリピンの伝統的なスイーツ、「ナタデココ」が流行します。ファミレスチェーンがデザートメニューとして提供したことが始まりで、それまでの日本のスイーツにはなかった新鮮な食感や低カロリーでヘルシーなことが人気の要因と言われています。実は、ナタデココには、ヒットに繋がる下地がありました。1990年、「ティラミス」がイタメシブーム※にのって大流行します。ティラミスは今や、定番化されたスイーツですが、一つのスイーツが一定期間に大流行する「爆発的ブーム」の火付け役となりました。人々が次の「爆発的なブーム」を待っているなか登場したのがナタデココだった訳です。以降、ベルギーワッフル、生キャラメルなど、90年代は3年ごとに大ヒットが生まれます。令和に入ってのタピオカミルクティーの流行も、この頃に似た現象のように思えます。

いまでは一般的となった「オープンカフェ」が登場したのもこの頃です。昭和の喫茶店は、少し閉塞的な空間のお店が多かったのですが、広尾にオープンした”カフェ・デ・プレ”をきっかけにオープンテラスが特徴のカフェが人気になりました。当時は、開放的な空間でバケットサンドとコーヒーを楽しむパリジェンヌのようなスタイルが人気だったようです。この現象も、最近の「ヌン活」に通じるものがありますね。

バブルが弾け、ファッションから食や暮らしまで新しいスタイルが生まれて行った1993年。時代のキーワードは「変化」「打破」であったように思います。マーケティング業界では、流行は30年周期でやってくると言われていますが、30年後の今も、3年続いたコロナが明けて新しい萌芽に満ちあふれているように感じます。これは、単なる偶然なのか、それとも、流行は30年で巡ってくるからなのか。いずれにしても、30年前の事実を知っておけば、今を生きる私たちも、色んな面で次の一手が打ちやすくなるのかもしれません。

※イタメシは30年前に流行した言葉で「イタリア料理」の意味。

ナタデココ

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甲斐 ツマオ

エッセイスト。漫画原作者。映像作家。