2022.11.30暮らし
一般社団法人 全国ご当地スーパー協会をご存じでしょうか?
これは、スーパーマーケット研究家である菅原 佳己さんが立ち上げた協会です。菅原さんにお尋ねしたところ「協会の設立の大きな目的は2つ。1つは、全国のご当地スーパー好きなファンのためにファンクラブのような団体をつくりたかったということ。もう1つは、全国のご当地スーパーと地元メーカーの応援になる事業を展開したい、ということです。」とご回答いただきました。
そもそも菅原さんが協会を立ち上げるきっかけとなったのは、ご主人の転勤で愛知県に移住したことでした。ご近所のスーパーに買い物に行ったところ、東京でいつも買っていた自分の欲しいものがなかった。その代わり、多種多様な海老せんべいをはじめとして正体不明の商品が所狭しと並んでいたそうです。「おもしろい!」と思った彼女はいくつか購入して食べたところ、とても美味しかった。大学卒業後テレビの放送作家をしていたので、文章を書くことはお手の物の菅原さんは趣味として珍しい物を買ってきては、食べて、写真を撮ることを繰り返すようになりました。
気づくと、行動範囲は愛知県に留まらず日本全国に。
中でも、福岡のご当地スーパーで「たらおさ(たらのい)」を初めて見たとき、「これは何?これって食べ物?」と思った衝撃は、ご当地食への探求を加速させる要因になったそうです。その後、溜まった情報を本として出版することになり、新聞・雑誌はもとよりTV・ラジオなど多くのメディアにも取り上げられ、ご当地スーパー研究家は、菅原さんにとってのライフワークへと進化したのです。
菅原さんは、スーパーマーケット研究家個人だけでは地方のスーパーを応援しきれないと感じ、全国ご当地スーパー協会を設立。語呂合わせから5月11日をご当地スーパーの日と定め、この日に発表される「ご当地スーパーグランプリ2022」を開催しました。表彰されたのは、「ご当地スーパーめし部門」「ご当地スーパーみやげ部門」「ご当地スーパーファン推薦部門」の3部門で、エントリーした商品やスーパーを公式インスタグラムに掲載し、ファンの方の「いいね」の数とコメント内容でグランプリを決定しました。めし部門のグランプリに選ばれた商品のコメントを見てみると「このシャケはここでしか食べられない最高なシャケです」「ポテトサラダは丼で食べたいくらいです」「このスーパーの凄さを知ったのは故郷を離れてからでした」などなど、他のグランプリのプロによる審査では見られない、熱と愛着のこもったコメントがほとんどでした。他の部門も同じような反響で、グランプリ2022は、成功裏に終わりました。
グランプリ直後に、改めて菅原さんにご当地スーパーの魅力と接し方を尋ねてみました。
「ご当地スーパーに行けば各地の食文化がわかります。そして、それらが歴史や伝統に由来していることがわかれば、どなたでも、さらなる興味が湧くと思います。ご当地スーパーは地方活性化の核だと言っても良いと思います。グランプリのめし部門を私は「#ゴスめし」、おみやげ部門を「#ゴスみや」と呼んでいます。これから流行らせたいとも思っていますので、皆さんには旅行に出かけた際に、ぜひ、ご当地スーパーを訪ねてみて欲しいのです。そこで、#ゴスめし、#ゴスみやを見つけて、SNSに拡散していただければ、彼らも励みになります。今は、通販をやっているスーパーも増えましたので、興味を持って頂いた方からの注文が入るかもしれません。最終的には、ご当地スーパーを応援することで、地方創生に繋がるとも考えています。」と語ってくれました。